エスパワーに始まりエスパワーに終わる
比企郡川島町 M.Y さん (2009.04.01)

多少内向的であったものの、何不自由のない幸せな子供時代を送り、思春期へと移行したころ宮沢賢治の作品に出会いました。恵まれた環境に身を置きながらも自分の存在に疑問を持ち、どうしたら世界が幸せになれるかと生涯悩み続けた賢治の姿に、私の中の何かが反応しました。今思えば、私の精神世界の探求の始まりだったと思います。その後、仏教・キリスト教・ギリシャ哲学と読みあさり、それでも答えを見つけられないまま、気づけば社会の一般の軌道からだいぶ外れてしまっていました。

さんざん回り道をした末にたどり着いたのは高校の英語教師という職業でした。やっと人並みのことができる、親孝行ができると喜んだのもつかの間、一年半で体調を崩し、泣く泣く退職。そのころすでに私の興味は宗教からいわゆるスピリチュアルと形容されるものに移っていたので、なぜ自分だけがと言う考えはなかったものの、やはり気落ちするのは避けられませんでした。

特にこれといった病気ではなかったので、必要なのは西洋医学でないことが本能的に分かっていたのですが、かといって他に何があるのか知識もありませんでした。そうしているうちに雑誌で与野健康プラザを知り、いくぶん怪しみながら思い切って予約してみました。ところが行ってみてびっくり!出身高校のすぐそばだったのです。縁があったのかと一枚ベールがはがれました。そして足を踏み入れるともう不安は消えていました。

空気がきれいで心地よく、働いているスタッフの方達が皆さん生き生きとして健康そうなので、私の選択は正しかったと確信したのです。症状を聞かれても説明できなかったので先生にすべてお任せしました。初めの一言二言ですっかり先生を信頼してしまったのです。カウンセラーではないと知りつつも、整体をやってもらっている最中、自分のことが口をついて出て来ました。

今までずっと自分に邪悪なものがあるからスムーズにいかないんだと自分を卑下していました。それを先生は、将来、人のために何かする準備なんじゃないかと言ってくれました。体の邪気だけでなく心の邪気を取り除いてくれたのです。半年が過ぎ、体も健康ですっかり静養もできたので、そろそろ仕事を始めようかと思い、何をして人の役に立とうかと模索しはじめました。気の世界をすこしかじり何か奇跡があるような気がしていました。

占いで聞いてみると適正がたくさんあり、するとどれも面白くやりがいがあるように思いました。何かがありそうなのに的を絞れない。夢のような世界がありそうなのに踏み出せない。私は再び道に迷ってしまいました。そんなときに先生はまた一言言ってくれました。「要は自分が何をやりたいかだよ」。私は舞い上がってこんなシンプルなことを見失っていたのです。本当に私は何がやりたいんだろう?

作家・カウンセラー・整体師・占い師・塾講師・通訳・翻訳…いろんな職業が浮かんでは消えました。それでもやはり一番生き生きしている自分を思い描けたのは教壇の上にいる姿だったのです。やっぱりあの仕事が好きだった。やっている自分が好きだったと改めて思いました。怠け心と意気地の無さでやるべきことから逃げていたのがいまになるとわかります。英語の実力アップと採用試験のために今年一年勉強に励む決心がつきました。

ぐるっとまわって元通り、といった感もありますが、前に禅の言葉で「悟る前、木を切り水を運んだ。悟った後、木を切り水を運ぶ」というのを読みました。見た目は同じでも一段階アップした自分であることを信じてがんばろうと思います。今回の私の自分探しの旅は「エスパワーに始まりエスパワーに終わる」といえるでしょう。