健康情報は旬な記事を抜粋し、エッセイは、館長が独自の視点で書き上げたものです。
これを読んで頂ければ、与野健康プラザがどういう施設か、ご理解頂けると思います。

健康情報

風邪薬  2016.12

いよいよ風邪の流行る季節になりました。風邪の諸症状は発熱、喉の痛み、せき、鼻水、鼻づまり、たん、くしゃみ、悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛などです。市販薬は複数の症状に対応した薬が配合されているため、軽度の症状の時に飲むと、副作用が生じ、逆効果につながることがあります。ほとんどの風邪はウィルス(*)が病原ですが、一般的な風邪の症状に効く薬はありません。(但し、ウィルス性でもインフルエンザや水ぼうそうには効果のある薬があります。)

風邪薬として売られているものは「風邪を治す」と書いていません。「風邪の症状を緩和することが目的の薬」です。また、抗生物質は細菌(**)には効きますが、ウィルスには全く無力です。にも関わらず、我が国では病原がウィルスであるインフルエンザや風邪症状に対しても安易に抗生剤が処方されています。その結果、病原菌だけでなく、体内のビフィズス菌などの有用菌をも殺してしまうので腸内環境を悪化させ、免疫力を低下させてしまいます。

発熱は 一種の生体防御反応であり、人体はあえて体温を高めることで免疫力をあげています。例えば、白血球は病原菌にたいする貪食、殺菌能などを有していますが、その白血球は平熱より1度上昇すると5~6倍の働きをすることが明らかになっています。

*ウィルス:細胞を持たず、タンパク質と核酸からなる粒子。単独で増殖できない。

**細菌:(バクテリヤ)細胞があるので、自分の力で増殖します。生物以外の食品内でも増殖して、食中毒を起こします。細菌による感染症の多くは抗生物質で症状を抑えることができます。

オリーブオイルは本当に健康にいいの?

「オリーブオイルが健康にいいって常識ですよ」と思っている人が多いですが、その理由はオレイン酸が8割も含まれていてコレステロールを減らしてくれるからです。オレイン酸の特徴は、ずばりコレステロール対策に力を発揮してくれるからです。これまで、コレステロールは健康の敵だと考えられてきましたからそれでよかったのですが、ここにきて話が違った方向に進んできています。米国の厚生省と農務省が設置した「食事指針諮問委員会」から、「コレステロールは、過剰摂取を心配する栄養素ではない」との報告書が公開されたのです。仕方なく日本も渋々追随しました。え!何ですかそれは。簡単に言えばコレステロール対策に気をつけなくてもよくなったのです。

コレステロール値が高い方が長生きするというデータも発表されています。今やコレステロールは動脈硬化や老化の原因ではなく、却って健康にいいものとして180度その見方が変わってしまったのです。それではそのように体に良いコレステロールを減らしてし まうオリーブオイルは本当に健康にいいといえるのでしょうか。今後もオリーブオイルの良さをコレステロールを下げるからという理由だけでアピールしてゆくのなら、オリーブオイルの使用はは避けた方がいいでしょう。

また他にも問題があります。純粋なオリーブオイルは入手が簡単ではありません。現在はエキストラバージンと書かれていたとしても、精製オイルや菜種油、大豆油等、着色オイル等が混ぜられているので健康への被害が出てしまうことがあるのです。この粗悪品の製造段階では、オイル抽出の為に石油系溶剤の使用や、高温での酸化、それに伴う臭いへの脱臭加工等、科学処理が数多くなされています。

これでは健康に悪いのも当然ですね。ちなみに本物のオリーブオイルというのは、苦味や辛味等の刺激的な味がします。マイルドなオリーブオイルはまず「おかしい」と思った方が良いと思います。「エキストラバージン」と書かれているだけで簡単に信用することは止めた方がよさそうです。今まで常識と思われたことが、いとも簡単に崩れ去ってしまったわけです。

低脂肪食品に注意

50年もの間「脂肪を摂ると太るから低脂肪の食品を摂りましょう」と信じ込まされてきました。これは全くの誤りであることが最近の研究でわかってきました。実はいくら脂肪を摂っても血中の血糖値は全く上がらないのです。肉や卵のようなタンパク質といっしょに摂ると、活動を維持するために分泌されるホルモンの作用で、脂肪細胞中の脂肪が分解され、血中にドンドン放出されていきます。

つまり脂肪を摂る方がむしろ痩せるという訳です。低脂肪のヨーグルトは痩せるなんて全くのウソだったのです。ヨーグルトの場合、脂肪分が低いと旨味を欠いて、おいしくなくなってしまうので、それをカバーするためにブドウ糖(糖質)を多く加えたものもあります。糖質こそが肥満の元になるのですから、そのせいで逆に太るということにもなりかねません。

つまり低脂肪食品にはやせる効果は全然ないどころか糖分や添加物が多く加えられ、変に加工されている食品が多いので、場合によっては太ったり、アレルギーを起こしやすくなったりする可能性のある食品なのです。

がん細胞とPH

セオドア・バロ-ディ博士

体内のpHバランスをアルカリ性に保つ事の重要性は、オットー・ワールブルク博士が解明しており、「がん細胞は酸性で、健康な細胞はアルカリ性である」と述べています。また、近年に於いては、セオドア・バロ-ディ博士(写真)が、著書「Alkalize or Die(アルカリ性かそれとも死か)」の中で「すべての病気の根本原因は、身体が酸性であること」と述べています。また、最近のアメリカのテレビに、良く登場する、ケビン・トルドー氏は、自身の著書「Natural Cure(自然治癒)」の中で「あなたの身体のpHがアルカリ性であれば、全く病気になることはない。全てのがん患者は身体のpHがとても酸性である」と述べています。

そして、長期に亘って身体が酸性化してしまうと、体力の低下や老化を速めるなどの症状が出てきます。がんになる場合も体の酸性化に大いに関係があります。それではがんはどのような環境を好んで勢力を広げようとするのでしょうか。異常細胞であるがんと正常細胞のエネルギーの獲得の違いを考えてみるとわかってきます。体内でエネルギーを作る方法は主に二つの方法があります。

正常細胞はミトコンドリアを使ってエネルギーを作りますが、大量の酸素を使います。血液のpHバランスがホメオスタシスとよばれる7.35~7.45に保たれていればだいじょうぶです。でも有害物質やストレスなどによってミトコンドリアの機能が低下すると充分なエネルギーが得られなくなり、がぜん解糖系(*)のエネルギー産生が盛んになります。

そのエネルギーの元になるのが糖質(ブドウ糖)ですが、ブドウ糖が不完全燃焼をし、副産物として「乳酸」が産生されます。ミトコンドリア系が充分に働いている場合は、副産物の「乳酸」も栄養としてエネルギー産生に使われます。しかし、解糖系(*)はブドウ糖のみを利用するため、細胞内で酸性の「乳酸」が余った状態になり、細胞はますます酸性になり、がん細胞の周辺はpH5という強い酸性になります。

乳酸が血管に流れ込むと、pH が本来の状態(pH7.35~7.45)よりも酸性側に傾く状態になります。そうなると酸素が細胞膜を通過することができなくなり、燃焼に必要な酸素が不足し、細胞のエネルギー不足が進み、ますますブドウ糖を取り込もうとするのです。「糖はがんにとって恋人のような存在」なのです。このようにしてますます元気になって暴れまわろうとするがんを静かにさせるには、pHバランスを取り戻すためにpHをアルカリに傾けてあげればよいのです。

単純に考えればアルカリ性食品やアルカリ度が高い水などを飲めばよさそうですが、体はそう簡単にアルカリに傾くことができないのです。そこでゼオライトの登場です。ゼオライトは体内のpHバランスを整え恒常性を保つようにするので、がんが勢いを増すことがないように強力に働きかけます。

*解糖: 酵母などの微生物によって糖を分解してアルコールなどを発生させることを「発酵」と呼ばれていますが、酸素を使うことが不可欠な条件なので、がんのエネルギー作りには向いていません。

しかし「解糖」の場合は、酸素をまったく使わずに糖を分解してエネルギーを作ることができます。これは、正にがんのエネルギー作りにはうってつけの方法ですが、効率が悪く、正常細胞のエネルギー作りに比べると十数倍の糖質を必要とします。おまけに、糖質を不完全に燃焼させるので大量の産業廃棄物である乳酸を作ってしまいます。この乳酸がまわりの細胞をますます酸化させてしまいます。

健康情報

人の寿命を決定している微小物質(4) 腸内細菌 ~最新情報シリーズ~  2016.11

腸内細菌

病気にならずに長生きできれば、「人に介護されて生きる」という老いの不安は消滅するでしょう。今月はその4つ目の方法を紹介します。

(1)腸内細菌による免疫力向上
腸内細菌から造られるタンパク質には強力な抗酸化作用があり、腹部の活性酸素を中和、無毒化することをA・グドゴフ教授(米)が発見しました。腸内細菌が増加すれば体内の活性酸素を減らせ、免疫力が高まり、テロメアの短縮は抑えられて寿命を伸ばすことができます。免疫力の70%は腸内細菌の働きで決定されるようです。

(2)理想の「腸内フローラ」
人の腸管は成人で10m近く有り、広げるとテニスコート一面分にもなります。そこには様々な腸内細菌が集合体をつくって生息しています。その姿が、花畑のように色鮮やかであることから、腸内フローラと呼ばれています。腸内細菌は、成人で5万種類以上あり、そこには1,000兆個以上の細菌類がいると推測されています。重さにすると、なんと1~2kgになります。腸内細菌は3つに分類できます。「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」です。
「善玉菌の働き」
腸内を酸性に保ちますので病原菌が死滅します。ビフィズス菌など乳酸菌群が多ければ、腸の若々しさを保てます。また、乳酸菌の壁には強力な免疫増強因子があり、免疫細胞を刺激しています。
「悪玉菌の働き」
代表の大腸菌は、O-157菌など有害な菌が侵入してきたとき、それをいち早く排除します。人は食物繊維を分解する酵素を持っていませんが、大腸菌は食物繊維を分解し、分解過程でビタミンの合成もしてくれています。ただし、タンパク質を分解して、アンモニアや硫化物を発生しますので、腸の老化や免疫力を低下させます。多すぎてはいけません。
「日和見菌」
善玉菌と悪玉菌のうち、勢力優勢な方につきます。理想のバランスは「善玉菌を優位にして、日和見菌を多くし、悪玉菌は少々」です。

(3)腸内細菌の働きの後方支援
食物繊維は腸内細菌の大好物です。食物繊維を豊富にとることによって腸内細菌の抗酸化作用が高まり、免疫力の低下を防ぎます。
①水溶性食物繊維
発酵しやすく、ビフィズス菌が増えやすい特徴があります。また、粘着性があって、腸をゆっくり移動するので食べ過ぎません。さらに、糖質の吸収を緩やかにするので、血糖値が急激に上がりにくく、胆汁酸やコレステロールを付着して体外に排出します。
②不溶性食物繊維
腸内のカスや細菌の死骸をからめとり、水分を吸い取って大きく膨らみ、腸を刺激します。この繊維が不足すると、腐敗菌が増殖して善玉菌が減少します。
③発酵食品
発酵食品は微生物が食材の栄養成分を分解・合成し、栄養価の高い新たな成分を作り上げています。
④オリゴ糖

熱に強く、胃酸によって分解されず、腸まで届くので善玉菌を増やします。
⑤糖アルコール
高齢者に適したカロリーの少ない甘味料で、消化液で分解されないで善玉菌を増やします。
⑥土壌菌
土壌菌がたっぷりついた生物を沢山食べている人は、土壌菌が腸内細菌を刺激してくれてパワフルです。

(4)心と腸と免疫力
コロンビア大学のマイケル・D・ガーション教授は「セロトニンやドーパミンなど脳内で幸せを感じる物質の前駆体の殆どすべては腸で作られている」と述べています。すなわち、腸内細菌がタンパク質からセロトニン・ドーパミンの前駆体を合成し、一度脳内に送られてから、幸せ物質となって働きます。「ボケない脳」「心のバランス」「幸福感」は腸から始まります。

腸内細菌増加食品

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維

◆発酵し易い
◆ビフィズス菌が増えやすい
◆粘着性あって空腹なりにくい
◆糖質の吸収を緩やかにする

<具体例>こんにゃく、海藻類(昆布、ワカメなど)、豆類、全粒穀物、野菜(ゴボウ、エシャロット、にんにくなど)、果物(アボガドなど)、ねばねば食品(納豆、オクラ、モロヘイヤ、里芋など)、コンビネーション( オクラ納豆、モロヘイヤ、納豆、豆腐とワカメの味噌汁、きんぴら、ゴボウ、里芋の煮物、アボガドとグレー、プフルーツのサラダ、焼きエシャロット)

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維

◆人の消化液では消化されません
◆腸内のカスや細菌の死骸を排出する
◆胃腸の水分を吸い取る

<具体例>さつまいも、全粒穀物、野菜、豆類、きのこ類、海藻、おから

発酵食品

発酵食品

◆腸内細菌を活性化する
◆かび、酵母、細菌などの微生物が、でんぷんや糖、タンパク質を分解・合成し、新たな成分を作り上げる

<具体例>ビフィズス菌(ヨーグルト)、乳酸菌(粕漬け)、乳酸菌(キムチ)、乳酸菌(チーズ)、乳酸菌(ヨモギ、タンポポ)、納豆菌(納豆)、麹菌(味噌)

オリゴ糖

◆熱に強い
◆胃酸によって分解されず、腸まで届きやすい。

<具体例>大豆、玉ねぎ、ゴボウ、にんにく、とうもろこし、バナナ(特に焼きバナナ)、はちみつなど。

糖アルコール

糖アルコール

◆消化液で分解されない
◆砂糖の1/2~1/3のカロリー

<具体例>キシリトール(いちご、カリフラワー、ほうれん草、玉ねぎ、人参、レタス、バナナなど)、ソルビトール(りんご、なしなど)、マンニトール(昆布)

土壌菌

大豆を発酵させた土壌菌入り製品をカプセルにしたものが市販されています。
「マメビオ」

【保存料や防腐剤は腸内細菌の増加を抑制する】

エッセイ

記憶力の低下・認知症の予防法はある  2016.11

最新の脳細胞研究結果
「脳の細胞は一度死んだら生まれ変わらない」ということが、100年間近く信じられてきました。 1998年、エクソンとゲージらが「ヒトの成人の脳内に神経細胞を生み出す細胞が存在する」ことを証明しました。

海馬の神経新生
ヒトは高齢者になっても、有酸素運動を続けて脳を活性化すると海馬の大きさが増加し、記憶力が向上します。 運動は激しいものよりも、少し早めのウオーキング、ゆっくりのジョギングといった低強度の運動を行なった時だけ海馬の神経新生が高まります。

豊かな環境(刺激の多い環境)でのラット
◆仲間がたくさんいて、いろいろな遊び道具がある環境でラットを飼育すると海馬の神経細胞、神経のネットワーク、シナプスなどがより増加します。
◆一匹で暮らしているラットは神経の栄養となる因子が出てこないが、たくさんで集まって遊んでいるラットはその栄養因子が非常に多く出てきます。
◆神経伝達物質アセチルコリンが出なくなることが認知症の一つの原因として考えられていますが、豊かな環境では増加します。
◆記憶力の向上が見られます。
◆βアミロイドの沈着がアルツハイマーの原因となっていますが、豊かな環境で飼育したラットは脳のβアミロイドの沈着が減少しました。

ヒトの環境と心がけの影響
社会的な接触が少ない人は、十分接触している人に比べて8倍も認知症の発生率が高いと言われています。
◆刺激の多い環境では、βアミロイドの沈着が少なくなります。
◆家族や友人とのコミュニケーションは認知機能や判断力を司る前頭葉を非常に活発化させます。

歳をとると記憶力は低下するか?
◆こういったネガティブな思い込みは、記憶力を下げることが報告されています。 ◆2015年 カウプらは「記憶力が悪いと思っていると後の認知障害のリスクが高まっていく」と報告しています。
◆「覚える力」は20代も60代も差がないので、思い込みを無くせば本来の力を発揮します。 ◆「思い出す力」過去に関わった事柄の数は60代は圧倒的に多いはずです。多くの中から選択するのですから、多少の時間はかかりますが、メモ用紙などを使って、思い込みを無くしてトレーニングすれば、必ず本来の力を取り戻します。 「私は若い!」という気持ちを心の中に常に持って生活していくことが重要です。高齢になっても、仲間と共に仕事をし、新しいことを学びながら、動き回って社会の中で役割を担うことが脳の健康を保つ秘訣ではないでしょうか。

健康情報

人の寿命を決定している微小物質(3) 長寿遺伝子 ~最新情報シリーズ~  2016.10

長寿遺伝子

(1)長寿遺伝子とは?
2003年に、マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授によって発見された「sir2(サーツー)」と呼ばれる遺伝子が、酵母の寿命を制御していることが分かりました。この発見によって、人の老化に関する研究が一気に進み、老化の原因の75%は生活習慣と環境であり、そこに長寿遺伝子が関わっていることが分かってきました。現在、人の長寿遺伝子は7種類あると言われていますが、これは長生きできるような人が特別に持っているものではありません。

全ての人に等しく組み込まれている遺伝子で、ふだんは細胞の中で眠っています。長寿遺伝子を働かせるには「長寿遺伝子をオンにする」必要があります。それには重要な条件が一つあります。人が老化する最大の要因は、活性酸素によって細胞が傷つけられて劣化することにあります。 長寿遺伝子には、活性酸素が起こした細胞の傷から遺伝子を守ることで、老化の速度を遅らせる働きがあります。

この長寿遺伝子が目覚めるのは、人のメインエンジンがミトコンドリア系に切り替わって、活性酸素の害が増え出すようになってからです。個人差はあるものの、だいたい50才を過ぎてからです。ですから、若い人が「長寿遺伝子をオンにしよう」と行動することに、意味はありません。

(2)長寿遺伝子をオンにする方法とは?
①適度の運動
ミトコンドリア系がメインエンジンとなった体は、活性酸素を生み出しやすい体です。激しい運動は好ましくなく、ほんの少し息が上がる程度のゆるやかな有酸素運動が、長寿遺伝子をオンにして、ミトコンドリアエンジンの働きを高め、テロメアの短縮を抑える長寿運動となります。

②糖質制限
長寿遺伝子をオンにするためには、「断食」が最も効果があるのですが、一般的ではないので、「カロリー制限」を勧めている場合が多いようです。しかし、テロメアを守りながらカロリー制限をするためには、糖質制限食が効果的です。この方法は「解糖エンジン」の動きを抑えられ、ミトコンドリアから無用の活性酸素を発生させずにすみます。

③レスベラトロールの摂取
レスベラトロールはポリフェノールの一種であり、ブドウの果皮や赤ワインなどに豊富に含まれています。近年、長寿遺伝子のスイッチをオンにする成分として注目を集めています。レスベラトロールにはブドウなどに含まれる単量体とインドネシアで栽培される「メリンジョ」などに含まれる二量体があります。サプリメントの活用が有効です。

④よく噛む行為
食事一口ごとに、よく噛むという行為は長寿遺伝子に刺激を与えることが分かっています。

(3)その他寿命に関わる事項
・ミトコンドリア、テロメア、長寿遺伝子などは全て細胞膜の内側にあります。この細胞膜を作る原料、男性ホルモンの原料およびうつ病を予防するのはコレステロールです。
・オメガ3脂肪酸(亜麻仁油、エゴマ油およびDHA、EPA)はボケや認知症の予防に有効です。
・トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニング、コーヒーフレッシュ)はミネラル、ビタミンを消耗し、活性酸素を発生してテロメアを短縮し、認知症を助長します。

エッセイ

夏バテから秋バテへの対応  2016.10

今夏は豪雨、酷暑、高温多湿などの異常気象が続いたため、例年になく体調不良を感じた方が多かったと思います。夏場の冷房や冷たい飲み物を飲み続けたことにより、体の冷えを引き起こして、全身倦怠感、食欲不振、消化不良、下痢、頭痛などの「夏バテ」症状は重症とはならないので、特別な対策を取ることもなく、自然に体力が回復するのを待つ方がほとんどのようです。

秋は気温も下がって爽やかに過ごせるはずなのに、季節の変わり目である毎年9月下旬~11月にかけて、なぜか体調を崩す人が多いのです。2014年、首都圏在住の20~40代の女性858名を対象に調査を実施したところ、「肩こり」(55%)「疲労」(42%)、「冷え」(40%)、「だるさ」(28%)といった不調を訴える女性が多いことが分かりました。これは、夏冷えから、自律神経のバランスを崩したことによる全身血液循環の悪化により、秋になって不調が出てくる、いわゆる「秋バテ」なのです。秋は、朝晩の気温が下がり、1日の寒暖差が大きいので、自律神経のバランスを崩し、血のめぐりが悪化して体力回復どころか、余計に体調を崩すひとが多く見られます。

また、空気が乾燥しているので体の水分の発散も多く、日照時間が減少しているので、それに伴って気分が落ち込みがちです。

「秋バテ」の対処法

  1. 体を温める。「風呂は湯船に浸かる」「温かい飲み物を飲む」「生姜を摂る」
  2. 水分補給
  3. 運動して適度に疲れる。「散歩」「ウオーキング」
  4. 早寝早起き
  5. 旬の食材を取り入れ、ゆっくりと味わう時間をつくったり、家族や友達と楽しく語り合う食事を楽しむこと。
  6. 定期的に排泄ができること

カラオケのセラピー効果

カラオケ

カラオケで思いっきり歌って、気分がスッキリしたと感じたことのある人は多いと思います。これは、メンタルの面で、科学的にもストレス解消効果が期待できると思います。一歩進んで、カラオケには、生理的な原因で自覚症状に悩む人には治癒(セラピー)としての期待が高まっています。

大きな声を出す意味

大きな声を出すと横隔膜が作動し、自律神経が刺激を受けます。息を吸った時は交感神経がより働き、吐いた時は副交感神経が優位に働きます。この切り替えが自律神経のバランスを整えます。歌う前の緊張と歌い始めてからのリラックスも交感神経と副交感神経のバランスに役立っています。

腹式呼吸

体幹筋トレーニングとなり、横隔膜、腹直筋肋間筋、大胸筋を鍛えます。腹式呼吸では息を吸った時、お腹が膨らみ、息を吐いた時、お腹が凹みます。ストレスを抱えている人にとっては、呼気を長くすることで、リラックス状態を作り出す副交感神経を優位の状態にすることが大切です。

有酸素運動

カラオケは有酸素運動です。一曲歌うと100m走に相当し、5曲では400m走に相当します。一曲歌うと10~15kcal消費し、5分間のウオーキングに相当します。

リズムにのって内分泌向上

リズムにのると電気信号は脳幹に働き、脳幹より海馬に刺激が行くとセロトニンを分泌します。また脳幹より視床下部に刺激が行くとΒ-エンドルフィンを分泌します。また、脳波がα波優位になると脳下垂体よりドーパミンが分泌します。この3者は何れも幸福ホルモンと呼ばれています。ホルモンの分泌により、自然治癒力が向上します。例えば、元気度、集中力度、ひらめき若返り効果、美肌効果などであり、歌詞の暗記や感情をこめることによって、脳の働き向上、ボケ防止に効果があります。

カタルシス効果(心の浄化作用)

不安な気持ちや悩み事、怒りやイライラした気持ちを言葉にして発すると、その気持ちが緩和され、安心感を得ることができるというものです。 歌の中には、様々な感情が詰め込まれているため、自分の感情ともシンクロする可能性が高く、リラックスすることが出来ます。

効果あるか? ストレスが原因の病気

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、神経性胃炎、円形脱毛症、過敏性大腸症候群、更年期障害、高血圧、くも膜下出血、心筋梗塞、頭痛、不眠症、腰痛、うつ病、拒食症、心臓病、老化・ボケ、疲労回復など。

健康情報

熱中症  2016.9

東京都監察医務院は、都内23区で見つかった熱中症で病院に運ばれた場合を対象として調査しました。この5年間に熱中症で死亡した人の9割が屋内で発見されていたことがわかりました。「家の中にいれば熱中症にはかからない」と誤解している人が多いのではと、注意を呼びかけています。2011~15年の公表データを集計したところ、5年間に熱中症で死亡したのは計365人。内328人(90%)が屋内で見つかっていました。

328人の中で、エアコンがあったのは160人、なかったのは134人、不明34人。エアコンがあるのに発見時に使われていなかったのは138人。一人暮らしは203人。65才以上は、365人中290人(79%)。死亡したと推定される時間帯は5時~17時142人(39%)、17時~5時104人(28%)、不明119人(33%)でした。なお、最高気温が34度以上の日が連続した時期に死亡者が増える傾向にありました。

監察医務院の福永院長は「高齢者は暑さを感じにくく、気づかないうちに脱水が進みやすい。屋内だからと安心してはいけません。エアコンなどで温度調節するとともに、意識的に水を飲むように心がけてほしい」と話しています。気象庁によると、この夏は2010年夏以来の猛暑になると予想されています。2010年夏は東京23区内での熱中症の死亡者は210人と過去最多となっています。

さて、100年前の鹿児島と現在の東京の気温が同じとは驚きです。今後100年後には、日本が亜熱帯地域になっているそうです。東京では、ここ100年間で平均気温が約3度も上昇しています。亜熱帯~熱帯に生息しているはずの南方系のクマゼミセミも、2001年に東日本で観察されました。

検診の心構え

「検査も治療も医者任せというのでは、かえって病気になってしまう」と、諏訪中央病院(長野県茅野市)名誉院長の鎌田實医師(写真)はアドバイスしています。「病院は見過ごしを一番怖がるので、とにかく必死で異常を見つけようとします。たいがいの場合、『異常な影がある』と、まず言われます。

そこから精密検査になりますから、ふつうの人は、次の結果が出るまで不安でたまらない。受診する側も、自分に必要な検査がどんなものなのかを自分で考え、その検査の数値の意味を知るくらいの知識が必要です。また、過剰な投薬には注意してください。たとえば軽い高脂血症で投薬を始める病院はおかしい。

無駄な投薬は二次健康被害の可能性も生みますし、薬依存や薬漬けの恐れもある。いくら早めの治療が必要だといっても、軽い高脂血症や糖尿病には投薬は必要ありません。まず必要なのは、生活指導です。人間ドックを行っている病院で病気を掘り起こされ、系列病院で治療する―そんな構図を指摘されても仕方がない病院は確かにあります。検査は頻繁に行うのではなく、本当に必要な時に必要な検査を受ければ十分なのです」。

帯津三敬病院院長の帯津良一医師(写真)は、「人間ドックは受けたことがないし受けるつもりもない」と言っています。本当の健康は、数字には表れないのです。また「『いつもと違うな』という感覚は、食べたり、体を動かしたりする中で気づくもの。その声を見落とさないようにするには、何よりメリハリのある生活をすることです。

昼間は一生懸命汗を流して仕事をして交感神経(*)をぴりぴりと刺激する。仕事が終われば完全にリラックスして副交感神経(*)を働かせる。こうした切り替えの意識が自律神経(*)を敏感にさせ、体の異変があった時にその声を聞き取るための勘を鋭くさせるのです」と語っています。

健康は、病気を恐れながら得られるものではありません。病気の存在を忘れる時にこそ得られるものなのです。つまり、「病院で検査を受けていれば安心」という考えは幻想なのです。長生きの秘訣、最高の医療とは、過剰な健康志向に縛られずに生きることなのかもしれません。

さいたま市 神経の仕組み

*交感神経、副交感神経、自律神経

神経には大きく分けて脳や脊髄にあるコントロールセンターの役目を持つ「中枢神経」と、脳以外の場所で体の各機関とつながっている「末梢神経」とがあります。この末梢神経には自分の意志とは関係なく体の機能を調整する「自律神経」と、人の意志で各器官を動かす「体性神経」があります。「自律神経」には「交感神経」と「副交感神経」があり、「交感神経」は活動、緊張、ストレスの神経と呼ばれ、「副交感神経」は休息、修復、リラックスの神経と呼ばれています。自分の意志で各器官を動かす「体性神経」には「運動神経」や「感覚神経」があります。

人の寿命を決定している微小物質(2) テロメアの秘密 ~最新情報シリーズ~

テロメア

(1)人の寿命はどのように決まるのか?

病気、遺伝子、生きがい、食事、生活習慣、宿命など様々な要素が考えられます。実は誰もが「100歳」という寿命を持って生まれてきているのです。人の60兆個の細胞には核があり、核内のDNAは非常に長い分子で、X状の生体物質(染色体)を形成していて、核内に収納されています。

右図のように、染色体の末端には、テロメアと呼ばれる構造体が鞘(さや)のようにかぶさっていて、染色体がバラバラにほどけないように守っています。このテロメアの長さが、人の寿命を決定づけています。テロメアには「TTAGGG」という塩基配列(*)が誕生時には10,000対あります。

1年に平均50対ずつ短くなっていくとすると、100年かかって5,000対に短縮すると細胞の寿命がつきます。(*T:チミン A:アデニン G:グアニン)人は病気や事故などで不意に命をおとさなければ、元々100歳まで生きられる寿命をもって生まれています。100歳まで生きられないのは、日々の生活習慣でテロメアがどんどん短くなっているからです。

(2)テロメアの長さが短縮する原因

  1. 細胞分裂
    細胞は、病気によって死滅した細胞を補うときに分裂を速めます。生活習慣病は細胞分裂がすすみ、テロメアの短縮が加速しやすくなります。
  2. 肥満と飲み過ぎ
    肥満と飲み過ぎは、体が悲鳴をあげて活性酸素を出します。その結果、生活習慣病を引き起こし、テロメアを壊し、寿命を短くする重大因子となります。
  3. 活性酸素の増加
    テロメアのDNAを分解し、壊してしまうのが活性酸素です。体内の活性酸素を増やすことは、寿命を短くすることに直結します。活性酸素を発生させるもの。電化製品、塩素入り水道水、食品添加物、洗剤、農薬、紫外線、ストレスなど。

(3)テロメアの長さを短縮させない方法

  1. 活性酸素の発生量を減らす。前月号に記載しましたように、50歳を過ぎたら糖質の摂取を極力控えて、活性酸素の発生量を減らします
  2. 活性酸素の働きを抑える抗酸化力のある食品「フィトケミカル」をとること。野菜や果物に含まれる色素やアクの成分であるポリフェノール、野菜や海藻に含まれている色素成分のカロチノイド、ねぎ・にんにくなどの香り成分、大根・からし菜などの辛み成分、ハーブや柑橘類のテルペン類、キノコに含まれるβ-グルカンなどがフィトケミカルです。
  3. 農薬を除去する。おとす方法としては、水にさらす、冷水に放つ、酢水につける、ゆでこぼす、アクをとるなどで有害物質を減らすことができます。
  4. よく噛み、歯で食べ物をすりつぶすようにして食べれば、野菜や果物の細胞壁を壊すことができ、フィトケミカルを効果的に摂取できます。
  5. 赤ワインを摂る。ポリフェノールは、ぶどうの皮と種に豊富に含まれています。大量のぶどうをまるごと使って製造される赤ワインは、大量のポリフェノールを摂取できる飲み物といえます。
  6. テロメアの短縮を防ぐ水の選び方
    ・加熱殺菌されていないもの。
    ・アルカリ性の水
    ・活性酸素を消す作用のある水は、アルカリ性の鉱泉水や温泉水です。
  7. 水素水を飲む。脳に溜まった活性酸素を消すには水素水が適しています。
  8. プロポリスで活性酸素を抑える。プロポリスのフラボノイドは他の植物由来のものより非常に強い抗酸化作用があることがわかっています。抗がん作用のあることも認められています。
  9. ビタミンEにはテロメアの長さを保つ作用があります。

健康情報

人の寿命を決定している微小物質(1)~最新情報シリーズ~  2016.8

2015年には100才以上の人が6万人を超えました。一方、約550万人もの人が、介護を受けている現状を考えると、寿命は延びても元気に生活している高齢者はそれほど多くはありません。最近、自立した生活を送りながら、元気に人生を全うする方法が議論されています。なぜ、「がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病」の四大疾病患者が50才を境に急増するのか、その理由が明かされてきました。それは「50才を境に大きく生理機能が変わる」からであると東京医科歯科大学名誉教授藤田紘一郎氏は述べています。

さらに「人の寿命を決めているのは『ミトコンドリア』『テロメア』『長寿遺伝子』『腸内細菌』という人体に存在する微小物質です。病気のリスクは遺伝ではなく、日々の生活の中でこれらの四つの物質をうまく活性化出来るかどうかにかかっています。逆に言えば、50才を超えたら、これらの物質を活性化する食生活を送ることで、元気で老化しない長寿人生は誰にでも実現できるということです」と述べています。これらの四物質は生まれた時から働いていますが、「ミトコンドリア」と「長寿遺伝子」は50才を過ぎないと活性化できないそうです。

1.50才からは、食べ方を変える ~ミトコンドリアエンジンへの移行~

  解糖エンジン ミトコンドリアエンジン
エネルギーの燃料 炭水化物(糖質)からつくる 酸素からつくる
メインエンジン 子供~45才くらいまで 50才前後から
力の種類 瞬発力 持続力
働く環境 低酸素、低温 高酸素、やや高温
活発に働く体温 32~36 ゜C 37 ゜C
場所 細胞質 ミトコンドリア
供給される細胞 白筋細胞、精子、皮膚細胞、粘膜
上皮細胞、骨髄細胞 その他
赤筋細胞、卵子、脳神経細胞
心筋細胞、肝細胞 その他

50 才以上で糖質を多く摂ると、解糖エンジンが再活発化してミトコンドリアエンジンがうまく働けなくなります。ミトコンドリアエンジンは多くの酸素を取り込んでいて、支障をきたすと、取り込んだ大量の酸素が活性酸素に変わってしまいます。がん細胞は解糖エンジンのもとで優位に働きます。解糖エンジンは高糖質、低体温、低酸素の三拍子がそろうと活発化します。50才からのがん予防の一つに、解糖エンジンの働きを抑えて、活性酸素の発生をへらすことがあります。

来月号「テロメアの秘密」に続く。

健康情報

高齢化に伴う紫外線の影響  2016.7

上出良一教授

25年ほど前までは「赤ちゃんにはよく日光浴を」と母子手帳にも奨励されていましたが、紫外線の健康被害が明確にわかってきたので、その後は全く奨励されることがなくなりました。紫外線は電磁波の1種ですが、唯一の利点はビタミンDを体内で作ってくれることです。有害なことのひとつに紫外線はがん化を二重に促進することがあります。がんが発生しても、皮膚にはがん細胞などの“異物”をチェックするシステムがあります。その異物を認識する機能を担っているのが、皮膚の最表面の表皮の中にあるランゲルハンス細胞ですが、この細胞はがん細胞や異物の特徴を白血球中のリンパ球に教えて、破壊させる役目を持っています。ところが、この細胞が紫外線に当たると、がん細胞を見逃すようになってしまうのです。

つまり、紫外線は皮膚にがん細胞を作るだけではなく、さらにがん細胞の増殖を許すという、二重の意味でがん発生を促進する役目を果たしてしまうのです。紫外線の受け方とがんの種類の関係ついて、東京慈恵医科大学皮膚科学講座上出良一教授(写真)は次のように話しています。「長期にわたって、ダラダラと紫外線に当たると、表皮(厚さ約0.2㎜)の中に日光角化症というがんを作ります。

とくに60~70歳代から多くなります。このがんは、皮膚の浅いところに留まっているので、命まで落とすことはありません。ところが、日光角化症をうっかり見落としてしまうと、表皮の下の真皮にまで入り込む有棘(ゆうきょく)細胞がんに変わります。真皮には血管やリンパ管も通っているので、そこを経由してがんの転移が起こり、肝臓や肺などの臓器やリンパ節に転移する場合があります。

そうなると、命にかかわる危険があります。また、間欠的大量ばく露といって、水ぶくれが生じるほど紫外線を大量に繰り返して浴びていると、基底細胞がんが起きることがあります。このがんは、30~40歳代から発症しますが、皮膚の深くに入っても転移はしないので、命にはかかわりません。しかし、ほっておくと、骨を壊す危険があるので、早く処置をするほうがいいでしょう。

もう一種類、紫外線が原因で発症するケースは少ないのですが、ほくろのがんといわれるメラノーマは、転移が早く、皮膚がんの中ではもっとも恐れられています。日本人の場合、メラノーマの4分の1は足に出ますが、最近では露出部にも見られるようになってきました」上出教授は、「紫外線の害は、何十年も蓄積して生じるといわれています。高齢化社会になればなるほど、紫外線の影響による皮膚がんが、とくに高齢者に表れやすくなっています。しかし、皮膚がんは、見えやすい所に出るのですから、早期発見ができて、早期治療がしやすいのです」ところで、顔や手足にシミやシワがある高齢者でも、お尻など、日が当たらない皮膚は、艶も張りもあるのをご存知でしょうか。

シミやシワは、紫外線による皮膚の老化現象なのです。「紫外線による障害は60歳以降の高齢になるにしたがって目立ってきます。若いころの過剰な日焼けは、光老化という時限爆弾を仕掛けられたようなものです」と語っています。日に焼けた黒い肌は健康的な印象ですが、そもそも日焼けとは、皮膚が紫外線から身を守るための防御策。強い日差しに当たると肌が赤くなって、だんだん褐色に変わりますが、これは肌の色素細胞がメラニン色素を作るためです。メラニン色素は肌細胞の遺伝子が紫外線で傷を負わないように守る働きをしますが、紫外線を過剰に浴び続ければ、長い年月を経て、皮膚がんなどを起こす原因となってしまうのです。

コレステロール神話の崩壊

コレステロールは、重要な栄養成分であるにもかかわらず、あまり摂らない方が良いとされてきました。しかし、本年2月にアメリカの厚生省と農務省が設置した「食事指針諮問委員会」から、「コレステロールは、過剰摂取を心配する栄養素ではない」との報告書が公開されました。これは、どういう事かというと、「コレステロールは血管を詰まらせる原因物質ではなかった」ということなのです。コレステロールが悪いとされたのはなぜでしょう。

発端は、ウサギにコレステロールを与えたら、動脈硬化を起こしたとの実験報告でした。ここで良く考えてください。ウサギは草食動物であり、動物性のコレステロールは食べません。無理に与えれば具合が悪くなるのは当たり前ですし、このウサギの動脈硬化は血管の外側にできていたので、内側に付いて血管を詰まらせるとの根拠にはなりません。

コレステロールの働きと主な役割

  1. 細胞膜の原料
  2. ホルモンの原料
  3. 胆汁酸の原料
  4. LDLコレステロールの役割は、コレステロールを必要な場所へと運ぶ運搬係
  5. HDLコレステロールは、余分な分を持ち帰る係

LDLコレステロールは、決して悪玉ではなく、生命維持に必要な働きをしています。確かに、動脈硬化を起こした血管にはコレステロールの付着が認められますが、この付着は動脈硬化の炎症をコレステロールが修復しているということが近年の研究で明らかになっています。医学者たちは、動脈硬化した血管内に集まっているコレステロールが火をつけた犯人だとみなしていたのです。犯人どころか動脈硬化を治すために集まって来てくれていたのです。これはちょうど火事場に火消しに駆けつけた消防車のようなものです。

コレステロールの約70%は、体内で合成されます。従って、食事から多量のコレステロールを摂取した場合には、吸収量を落とし、さらに合成量を調整するので、血中のコレステロール濃度は一定に保たれます。動物性の脂肪には体内で合成できない必須脂肪酸も含まれているので、高齢者も適量の動物性脂肪を摂取する必要があります。逆に、薬でコレステロールを下げ過ぎると、うつ病やアルツハイマー病に罹りやすくなることが報告されています。コレステロール降下剤は百害あって一利なしです。

医学会の動き

日本脂質栄養学会

コレステロール値と中性脂肪が高いほうが長生きする。コレステロールを低下させる医療や食事による生活習慣病予防対策の見直しが必要です。

浜崎智仁・富山大教授

 

浜崎智仁・富山大教授

悪玉と呼ばれるLDLコレステロールは低下させなくても良い。

LDLコレステロールが高い方が死亡率は下がる。

大櫛陽一・東海大教授

大櫛陽一・東海大教授

血中の中性脂肪の量は、食事と生体のエネルギー消費に合わせ、適切に調整されている。日本人では、高脂血症とされている人の方が脳卒中のリスクが低く、脳卒中になっても軽症ですんでいます。中性脂肪を下げる必要はない。

エッセイ

夏かぜに注意!  2016.7

夏は温度の高い屋外と冷房を効かせた低い温度の室内を出入りすることで自律神経が混乱し、調節機能がうまく働かなくなって、風邪に罹りやすく、疲れやすい、だるい、思考力の低下などの症状が現れます。また、夏は汗を大量に書くので水分補給は重要ですが、冷水を取りすぎると胃腸を弱らせ消化力を低下させます。夏の水分補給は常温またはそれに近い温度の水や麦茶や緑茶がおすすめです。

食欲がない時は生姜、シソ、ミョウガなどを使って、温かいスープが夏バテ予防に一役かってくれます。野菜、卵などを使い、ビタミンやタンパク質を摂って免疫力を上げましょう。夏の夜は寝苦しく、睡眠不足になりがちです。寝苦しいからといつて一晩中冷房を効かせて寝るのはよくありません。布団を麻地に変えたり、シーツにノリをきかせたりするだけでも寝心地がよくなります。暑いからといってシャワーだけで済ませず、湯船につかり、新陳代謝を高めましょう。何と言っても、風邪予防の基本は、うがいと手洗いです。しっかり行いましょう。

ポイント1「クーラーによる冷え」

ひざ掛けと上着などをかけて「肩や肘、膝などの関節を冷やさない」ように注意しましょう。それでも寒い人は湯たんぽやホカロンなどで体の芯を良く温めておくようにしてください。汗をかけない方は、頭の後ろの盆の窪あたりを蒸しタオルで5~10分前後、温めるのを毎日繰り返すと汗が出てくるようになります。

ポイント2「水の飲みすぎによる体の機能低下」

水分補給はその飲み方が問題です。大体、暑い夏は一気に飲んでしまうと思います。すると胃の中に、急激に冷たいものが入ることにより、消化器の温度が下がります。内臓の温度が下がると、消化酵素など体にとって大切な酵素がうまく働かなくなってしまうために、消化不良やだるさなど様々な問題が起きてきて夏バテにもなり、腰に力が入らなくなってしまいます。

健康情報

「梅雨だる」感じてますか?  2016.6

梅雨の時期は、気温や湿度が大きく変化しますが、その変化に体がついていけなくなるのです。梅雨の時期は、低気圧の配置や副交感神経の影響などで、体そのものがお休みモードに入ってしまいます。気圧が低いことによってヒスタミンの分泌が多くなり、肩凝り、偏頭痛、腰痛などの症状が、さらにひどくなります。ストレスも感じやすくなります。そのため、末梢血管を収縮させてしまい、手足の先まで血がまわりにくくなって冷えにもつながります。

もともと人間の体には気温の変化に合わせて体温を調節する働きがありますが、4月頃から気温が上昇し始め、体がやっと慣れてくる6月頃に梅雨が始まりますので、どうしても体がついていけず体調を崩してしまうのです。憂鬱な気分になったり、体のだるさや疲れを感じたり、風邪をひきやすくなったり、頭痛や食欲不振など体調の変化が起こりやすくなります。気温が上がり、暑くなって冷房を使い始めたりすると、体が冷えて内臓に変調をきたす場合もあります。

男性に比べて梅雨の時期になると、多くの女性は体調不良を感じます。この梅雨の時期に女性が感じる特有の体調不良を“梅雨だる”と呼んでいます。”梅雨だる”で感じる症状としては、疲労感や体のけだるさ、ストレス、肩凝り、冷えなどがあります。中には梅雨入り前から梅雨明けまでのおよそ2ヶ月間もの間、ずっ~と”梅雨だる”を感じているという重症の人もいます。そこでお勧めできるのがまず

(1)気温差チェックです。朝晩の天気予報をチェックするときは、気温差もしっかりチェックして最高気温と最低気温との温度差に注意することです。温度差が大きいと疲れが出やすかったり、風邪を引きやすかったりしますので、こまめに体温調節をする必要があります。夕方など冷え込みそうなときには、一枚羽織るものを持って出かけましょう。

(2)次にできるだけ日光にあたるようにしましょう。日光にあたる時間が少ないと眠りが浅くなって疲れが取れなくなりがちです。晴れている日はできるだけ外出するように心がけるといいです。

(3)ぬるめのお湯にゆっくりとつかるようにしましょう。38~40℃ぐらいのぬるめのお湯で半身浴をするのがおすすめです。汗をかくことによる爽快感がえられます。最後に

(4)ゼオライトです。ゼオライトは血行を良くしてくれますし、体から毒を取ってくれて体調を整えてくれます。気分が落ち込んでいる時も元気にしてくれます。

健康情報

(米英の研究報告)がんには糖質制限が効く  2016.5

カナダのサマンサ博士

人の筋肉細胞や脂肪細胞はブドウ糖取り込み装置「GLUT-4」という糖輸送体を持っていますが、通常は細胞内に沈んでいてインスリンが追加分泌された時と筋収縮があった時にのみ表面に上がってきて、ブドウ糖を取り込みます。これに対して、がん細胞、脳、赤血球などは「GLUT-1」という糖輸送体を持っていて、こちらは常に細胞表面にあるので、優先的にブドウ糖をいつでも取り込めるわけです。つまり、がん細胞は他の体細胞に比べて、優先的にブドウ糖を取り込むことができるのです。これが、がん細胞が正常細胞の数倍もブドウ糖を取り込める理由でもあります。糖はがんのエネルギー源ですから、糖質制限はがんを消滅させるのに効果的です。

1)2005年の第65回米国糖尿病学会でカナダのサマンサ博士(写真)等が、1万人以上の糖尿病患者の研究成果を次のように報告しています。「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、がん死亡率がおよそ2倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)内服しているグループはがん死亡率が1.3倍高まる」。この研究は、高インスリン血症の発ガン促進作用を検証した研究ですが、サマンサ博士等は「循環しているインスリンレベルが増加すると腫瘍の進展や死亡率が高まる。」との考えを示しました。インスリンは、人体に絶対に必要不可欠なホルモンですが、分泌量や必要量が少なくてすめば、それに越したことはないようです。

2)ロンドンにある世界がん研究基金は、太り過ぎると、7種類のがんになる危険性が高まるという報告をまとめ2007年に報告しました。同基金は、1960年以降に世界各地で書かれた50万件の研究報告から7000件を選び出し、がんと体重、食事との関係を分析した結果、「BMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20~25に保つのが望ましく、肥満が乳腺、膵臓、直腸、食道、子宮内膜、腎臓のがんのリスクとなり、おそらく、胆嚢のがんのリスクにもなる」と結論づけています。この報告も「肥満→インスリン抵抗性→高インスリン血症→発ガン」という今までの研究報告に一致するものです。

3)男性対象に全米で健康調査を行って1971年の結果と2000年の結果を比較したところ<総摂取カロリーに占める脂質>は37% から33%に、<総摂取カロリーに占める糖質>は 42% → 50%、<BMI30以上の肥満>は 15% → 31%となっていました。全米健康調査によれば、脂質は減り続け、糖質は増え続け、肥満は倍増です。このデータを検討すると、糖質の過剰摂取が肥満の元凶となっている可能性が、極めて高いと言えます。即ち、「糖質過剰摂取→肥満→インスリン抵抗性→高インスリン血症→肥満・・・→発ガン」というパターンが読み取れます。がんの発症する要因には様々なものがありますが、これらの研究成果をまとめて考えると少なくとも「高インスリン血症、インスリン抵抗性、肥満」という明白な発がんリスクは糖質制限食で予防できると言えます。

腰痛の85%は原因不明

さいたま市 腰痛

長年の腰痛。本当につらいですよね。季節の変わり目になるとまた腰が・・・。思い出すだけで、憂鬱になります。まあ、生活できるし、我慢してたら、また良くなる・・・。これって危ないかもしれません。痛みを訴えて受診する人のうち、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などレントゲンやMRIなどの機械を使って原因が特定できる腰痛は、実は、たった15%。全国的調べで、腰痛全体の約85%は、レントゲンなどでは腰に明らかに異常が見られない「非特異的腰痛」です。(参考)日本整形外科学会と日本腰痛学会が新たにまとめた治療・診断の指針「腰痛診療ガイドライン」

病院にいっても、湿布をもらって終わった経験ありませんか? 原因が分かりませんでしたってことなのです。私の経験では、90%近くは腰以外の原因の痛みで来られます。腰が痛い→腰を揉む→痛み止め注射→湿布→牽引。これ、もうやめましょう。痛い所が悪いに決まっていると思っていませんか?真の原因を突き詰めていくと、腰が原因でないことがとても多いのです

具体的に、腰痛を伴う病気として、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆嚢炎、胆石、腎盂炎、尿路結石、子宮筋腫、卵巣嚢腫、腹部大動脈瘤などが挙げられます。しかし、これだけではないのです。内臓肥大や筋肉の硬結による内部からの圧迫、内臓の疲労および周囲筋肉の硬結による腰部の筋肉圧迫などにより血流が悪化して痛みが生じます。この対策は、内臓を疲労させないことです。そのためにはストレスを出来るだけ溜めないようにしましょう

便秘による大腸圧迫、ガスによる腸の膨張なども腰痛の原因となります。肩こり、頭痛、倦怠感、むくみなどの根本原因も内臓の疲労にある場合があるようです。なかなか治らない症状に対して、今の担当治療者に「内臓が原因ではないですか」と聞いてみてください。「ありえない」と言われたら、すぐ他の治療所に行きましょう。

本当の痛みの原因

加茂整形外科医院 加茂淳先生

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄、腰椎すべり症、分離症、椎間板や軟骨の変性が痛みの原因となることはありません。これらは痛みやしびれの原因ではなくて、筋肉が硬くなり、しこりとなって、短縮した結果とみるべきです。筋骨格系の痛みやしびれのほとんどは筋性疼痛(つり、引っ張り、こわばり、凝り、痙攣、攣縮、*スパズム)です。筋肉の微小損傷が始まりです。*筋肉が意図せずに収縮すること。整形外科やペインクリニックで扱うほとんどの疾患は、筋膜性疼痛症候群(MPS)なのです。それが間違った診断をされていることが多いのです。MPSは筋肉が原因となって痛みやしびれを引き起こす疾患です

自殺を助長する抗うつ剤

パキシル

以前は「うつ」というと性格的に「弱者」ととられたので、他人に公言しにくかったのですが、最近の若者は自分が「うつ」であることを臆することなく公言するようです。それに比例して抗うつ剤の販売が急激に伸びています。グラクソ・スミスクラインで製造販売しているパキシルという抗うつ剤は日本で売り上げ1位で、年間500億円以上というヒット商品です。SSRI タイプの薬で、脳内のセロトニンの濃度を上げると言われ、うつ病や強迫性障害の治療に処方されています。この薬を飲んでいると、飲んでいない人に比べて自殺する確率がかなり高くなるというので恐ろしい話です。

厚労省は添付文書に「若年の成人で自殺行動のリスクが高くなる可能性が報告されており、投与する場合は注意深く観察すること」との記述を加えるよう指導し、注意を喚起しています。製造販売元のグラクソは急遽添付文書を改訂せざるを得ませんでした。この発端は米食品医薬品局(FDA)が、同様の警告を発表したことを受けた措置だったそうです。厚労省によると、患者を対象にした海外での臨床試験で、パキシルを服用した3455人中11人(0・32%)が自殺を試み、偽薬を飲んだ1978人ではたった1人(0・05%)だったということがわかりました。

なお、自殺行動は18-30歳で多かったそうです。脳内に存在するセロトニンという物質は脳の神経伝達物質のひとつであり、SSRIタイプの薬はセロトニンに働きかけるといわれています。セロトニンは、一度情報を伝えると神経細胞に取り込まれてしまいますが、SSRIは、この再取り込みを抑えて、シナプス間のセロトニンを減らさないようにします。そのような作用から、うつ病・うつ状態、強迫性障害などに効果があります。

しかし、脳の防御反応では薬の効き目がなかなか出てこないことが多いため、大量に飲まざるをえない場合が多いので要注意です。この薬を飲んでいる方に様子をお聞きしたところ、副作用情報とぴったり合っていました。その副作用は口が渇く、便秘、尿閉、ふらつき、めまい、吐き気、眠気、不眠、性機能障害、体重増加などです。ちなみに、この方は医師から副作用情報の説明を一切受けておらず、自分が持っていた副作用がことごとく一致するので驚いていました。

そしてもうこれからは飲まないといっていました。医師から適切な副作用情報の説明を受けずに、ただやみくもに薬を飲むことはとても危険なことです。体がおかしくなってからでは遅すぎます。まして、自分の命を自ら絶ってしまっては元も子もありません。

健康情報

ウィルスに対するゼオライトの働き  2016.4

Magdalina Grce博士 Kresimir Pavelic博士

Magdalina Grce博士(写真右) Kresimir Pavelic博士(写真左)

食用ゼオライトに使用されている斜プチロル沸石(クリノプチライト)に抗ウィルス作用があることを証明した学術論文を紹介します。2004年発表(クロアチア)

研究対象ウィルス
アデノウイルス  ヘルペスウィルス
エンテロ・ウィルス(コクサッキーウィルスおよびエコーウィルス)

具体的効果

  1. 毒性なし。経口投与可能。
  2. 上記ウィルス増殖に対する著しい抑制効果
  3. 下痢に効果
  4. 抗酸化作用
  5. 免疫活性化作用
  6. 抗ガン作用
  7. 塗布により、口唇ヘルペスおよび性器ヘルペスウィルス感染を抑制
  8. 経口により、アデノウィルスおよびエンテロウィルス感染の治療
  9. がんのマウスおよび犬に対して、延命効果と腫瘍サイズ縮小を確認
  10. 犬の皮膚がんに対して、塗布により腫瘍の形成と増殖を抑制
  11. 通常の薬剤治療のように耐性を出さずにウィルスを抑制

ゼオライトの粒子サイズとセシウム吸着率

ゼオライトの粒子サイズとセシウム吸着率

株式会社アステック東京の研究チームはゼオライトの粒子の大きさによってセシウム吸着速度に大きな違いが出ることを発表しました。粒子サイズが800ミクロンと5ミクロンのゼオライトで実験してみると800ミクロンのゼオライトは、振とう開始1分後ではセシウムの吸着率が89.50%の吸着率でしたが、振とう時間が長くなるとセシウムの吸着率が高まり、振とう開始180分後にはセシウム吸着率99.65%と高い吸着率となりました。

一方粒子サイズが5ミクロンのゼオライトは、振とう開始1分後でセシウム吸着率 99.90%と高い結果が出ました。特筆すべきは、800ミクロンのゼオライトの振とう開始180分後の吸着率 99.65%よりも 5ミクロンのゼオライトの振とう開始1分後の吸着率 99.90%の方が高いという事であり、その差を時間スケール(分)で示すと 180倍以上の差が出たと言えます。

*与野健康プラザの液体ゼオライトの粒子サイズは0.1~10ミクロンです。

食養生 ゴボウ

食養生 ゴボウ

ゴボウは病弱者に欠かせない優良野菜煮物です。多くある中でキンピラゴボウは何ともいえない旨味を添える故郷のお袋の味です。ゴボウは、夏に紫色の花をつけるキク科の植物。いざ使用する時は、牛蒡抜きという言葉のように、太くて長い根を一気に引き抜きます。このゴボウを食用としているのは日本だけだということですが、根だけでなく、葉の若いところは草餅のヨモギのように突き込んで食べると美味しいものです。ゴボウに含まれるイヌリンは、腎臓の働きを助けるので古くから利尿剤として使われていました。

また、アルギニンという物質も含まれていて、性ホルモンの分泌を助け、強精効果があり、力を増し、脳育にも助けとなります。ゴボウの繊維は腸を刺激して、消化、整腸、老廃物を流すという働きがあります。繊維には特殊酵素も含まれ、腸内の有効菌を育ちやすくします。腸の汚れは万病の元です。便秘がちの人は玄米に摺りゴマをかけ、ゴボウを食べたら効果抜群。鉄分が多いので、造血力があり、貧血防止や美容にも大切な食物です。

また、驚いたことにゴボウの汁で腹痛、盲腸が治ります。盲腸のときは、ゴボウを皮ごとすりおろした搾り汁を飲むと、盲腸の炎症を治し、切らずに治ってしまいます。これを盃一杯ずつ、痛むときは三十分おき位に、盲腸を豆腐湿布(パスター)で冷やしながら飲むだけで治ってしまうのです。これは腸内の異常発酵を抑えるので、盲腸だけでなく、ひどい腹痛でもケロリと治します。

風邪の妙薬ともされ、やはりゴボウをすりおろし、熱湯を加え、味噌を入れて飲みます。保温作用もあるので冷え性にも効きます。ゴボウは皮に旨味があるので、皮付きのまま、どっぷりと煮込んだり炒めたりして下さい。必ず泥付きのものを求めます。漂白したものや、千切りのパックになっているものは、風味も薬効も落ちています。その他にも、便秘、利尿、解毒、発汗、むくみ、貧血、強壮、強精など、様々な働きがあります。さらに、子宮びらんには、すりおろした汁を脱脂綿に浸し、それを挿入するとよいし、生理不順にもゴボウそのものを調理して食べるだけで効きます。

のひどいときは、ゴボウの搾り汁を飲むといいです。毒虫に刺されのときにも搾り汁をつけます。このように、自然の食物は、中に素晴らしい力を宿して人間の健康のためにその力を惜しみなく与えてくれます。それに反して、人間は勝手に公害を作り出し、薬害や添加物に悩み、病気を増やしていますが、自然はまだその大地の中に人間を救うべきものを残し、人間の生活を浄化しようと働きかけています。

健康情報

酸性食品・アルカリ性食品の真実  2016.3

肉を食べると血液が酸性になる?

食事法を指導する方の中には、肉は酸性食品だから、たくさん食べると血液が酸性になるとか、野菜はアルカリ性食品だから健康に良いとか常識のように述べている人がおりますが、全くの誤りです。食品を500℃で燃やした灰を分析して、酸性を示す成分とアルカリ性を示す成分のどちらが多いかで、酸性食品、アルカリ性食品を区別しています。

食品そのものの酸性、アルカリ性を直接測定しているわけではありません。身体の中では500℃で燃やしたりするのとは違う反応が起こって食べ物を消化吸収しています。例えば、アルカリ成分の多い食品を食べたとします。この食品は胃の中の強力な酸である胃酸(pH1~2)によってすぐに酸性になってしまいます。逆に、酸性成分の多い食品を食べた場合、十二指腸に入ればアルカリ性の消化液のためにアルカリ性になります。

血液のpHは基本的にいつも

同じ何を食べようと体内では、赤血球、肺、腎臓などが酸性・アルカリ性を調整してpHを常に7.32~7.42に保つようになっています。肉、魚、卵、チーズなどの動物性食品を食べて、血液が酸性になり、病気になると思っている人がいますが、それは間違いですから心配いりません。「NHKためしてガッテン」の実験によれば酸性食品ばかり食べるグループとアルカリ性食品ばかり食べるグループとに分け、3日後に尿のpHを測定したところ、食品の影響が現れましたが、血液のpHは7.32~7.42で一定でした。

二日酔い

お酒を飲む人なら経験したことがある人は多いと思いますが、つい酒を飲みすぎてしまうと、翌日は激しい頭痛に襲われたり、吐き気がしたり、胸のむかつきがあったり、なんともいえない不快な症状に襲われることがあります。「酔っ払う」とは、血液中のアルコール濃度が高くなっている状態で、アルコールを飲む速さがそれを分解する速さを上回ることで起こります。自分の代謝能力以上にアルコールを摂取することで引き起こされる症状で、脳が麻痺した状態です。酸素不足とアセトアルデヒド脱水酵素の代謝能力ではまかないきれないほどのアルコールを摂取するから二日酔いになってしまうのです。

アセトアルデヒドという物質は毒性が非常に強く、その毒性によって二日酔いが引き起こされます。アルコールが分解される時には、体内でアルコール脱水素酵素と大量の酸素によってアセトアルデヒドに分解されます。そのため体内の酸素と酵素が不足すると、アルコールの分解を遅らせてしまいます。さらにアセトアルデヒドは、アルデヒド脱水素酵素により無害な酢酸へと分解され、最終的には水と二酸化炭素(炭酸ガス)に分解されます。

そして体外へ排出されるのです。この時にも酸素と酵素が必要です。しかし、酸欠の状態では、アセトアルデヒドが体内に留まってしまい、頭痛や吐き気、めまいなどの不快感を引き起こすのです。ゼオライトを飲むとこのアセトアルデヒドを引き寄せて体外に出してくれるので、二日酔いは起きません。欠点と言えばお酒にめっぽう強くなってしまうことです。お酒好きな方にとっては、あの酔った快感がたまらないのでしょうが、健康を優先するならアセトアルデヒドによるダメージを止めてくれるので肝臓にはとてもいいですよ。

健康情報

メンゲン反応  2016.2

施術のお客様にその都度説明をしているのですが、実際に直面した場合、迷いを生じやすいのがメンゲン(瞑眩)反応です。メンゲン反応は好転反応とも呼ばれており、食事療法、健康補助食品、ハリ、マッサージ、整体、アロマセラピーなど自分の自然治癒力で治そうとする過程で、強弱の差はありますが、必ず生じます。細胞内の老廃物や体内に滞留していた「瘀皿」が一気に排出されたり、病変を起こしていた大量の細胞が処分される結果、一見症状が悪化したようになります。しかし、これは一過性であって、細胞が新しく変化するにしたがって消失していきます。実際例を挙げましょう。

  • ストレス性の慢性病の方のなかには、一晩に5回の下痢に見舞われた人、バケツいっぱい位の便が出た人がいました。
  • 慢性頭痛の方で、39度の発熱が三日間続き、大量のウミがたまった大きな吹き出物の出た人がいました。
  • 全身疲労・不眠症の方は、施術の翌日体がだるくなり、16時間も眠り続けました。
  • 胃の悪かった人で、胃痛、吐き気を訴えた人がいました。
  • 婦人科系病気が良くなる前に、ジンマシンがでました。
  • 血糖値が200台の糖尿病患者は一時的に300台まで上がり、二日後100台まで下がりました。
  • アトピーの例では、正常であると思っていた部位に新しく発疹が現れる場合があります。いずれは病的変化を起こす下地ができている部位が予定より早く表面化する症状で、数日で消失しました。

以上のような事を聞きますと大変な事態に至るように思えますが、薬の副作用や病気の悪化と比較して全く異なる点は、本人は意外に元気であり、顔の表情も明るいことです。前記の39度の熱を出した主婦は、いつものように洗濯をし、車を運転して当プラザへ施術に来たぐらいでした。しかも、重病の方なら、反応が大きいほど回復は間近である場合が多いのです。

牛乳神話

山田豊文

牛乳及び牛乳製品に関して、日本でも厚労省が2008年から7年半にわたって45~74歳の男性4万3千人を対象に追跡調査をした結果が発表されています。それによると牛乳や乳製品を1日約330g摂っていたグループは、1日12gのグループに比べて前立腺がんの発生率が1.6倍高まったということです。横綱大鵬を初め多くのアスリートや著名人に健康アドバイスをしてきた杏林予防医学研究所所長の山田豊文氏(写真)は「これは、乳製品に含まれるエストロゲンや成長ホルモンなどによって、前立腺をはじめとする生殖器の細胞が悪影響を受けたことが原因と考えられます。牛乳はそもそも仔牛の成長のためのもので人間の飲み物ではないと教えています。みんな牛乳を飲まなくても体のコンディションを高レベルで維持しています。」と解説しています。

東京DDクリニックの内海院長は、「牛乳に含まれる乳糖は小腸にあるラクターゼという酵素によって分解されますが、アジア人の90%は分泌量が少ないのでお腹がごろごろする乳糖不耐症です。」と説明しています。欧米人の場合たったの15%といいますから牛乳は日本人には合わないのが当然です。それを無理やり国の政策として「牛乳は最も栄養価が高い完全な食品」などと偽って全国民に小さいころから飲ませてきた罪は大きいと思います。特に栄養士たちや学校の先生たちは今でも自分たちが誤った情報で洗脳されてきたことに気がついていない人が多いのが大いに気がかりです。

再度「血糖値」の常識を変えましょう

平成24年の国民健康・栄養調査によると日本人の糖尿病の患者は約950万人とされています。これに、予備軍(約1100万人)を含めると、約2050万人にものぼります。本誌262号(H26.9.1)に血糖値の常識の誤りを記載したのですが、良く分かっていない人が多いのは、日本の医学界に問題があるようです。

米国糖尿病学会の発表

1997年版

「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」と記載。

2004年版、2009年版

「食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わらない」と改正されています。

日本糖尿病学会の発表

2013年11月食品交換表第7版には「血糖値に影響を及ぼす栄養素は主に炭水化物ですが、脂質とタンパク質も影響を及ぼします。脂質は食後しばらくたってから血糖値が上がる原因となります。1回の食事でとりすぎないようにしましょう」と間違った記載がされています。米国の発表は、1997年から2004年の間の膨大な研究・論文の蓄積から結論づけたものです。そこで、実際の食事で確かめました。なるべく糖質を減らし、タンパク質や脂質を通常より多く食べても血糖値は下がります。

 *炭水化物=糖質+食物繊維

脂質を減らしても肥満や糖尿病は増える

脂質と聞くと「太る」や「ダイエットの敵」で「体に悪い」というイメージが強いです。過去の常識として、日本でも欧米でも心臓病、糖尿病、肥満・メタボリックシンドローム、がんなどの原因は脂質が犯人とされてきました。ところが、米国で5万人弱の閉経女性を対象に、平均8年間にわたって追跡した大規模な調査の結果、脂質熱量比率20%を強力に指導しても心血管疾患、乳がん、大腸がんのリスクを下げることができなかった記事がアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。

つまり、野菜タップリで脂質を減らした、いわゆる「ヘルシー食」でも、実はヘルシーでもなんでも無かったのです。巨額のお金と多大な時間を投入した第一級の疫学研究で、従来ヘルシーと信じられてきた「低脂質食」が全く無意味と証明されたのですから、驚きです。米国の主要栄養素の摂取傾向を調べてみると、総脂肪由来キロカロリーの占める割合は1971年が約37%で2000年には約33%と減少しているにも関わらず、成人の肥満率は1971年が約15%で2000年には約31%と倍増しています。

また、米国の糖尿病も、1995年の患者数は800万人なのに2005年度の糖尿病患者数は2080万人になっていて、脂質の摂取率が減少しているのに糖尿病は10年間で約2.6倍と激増しています。これまで言われて来たように、脂質が肥満や糖尿病の原因であれば、摂取率が下がれば肥満率も糖尿病の有病率も下がるはずなのにこの有様です。脂質を減らしても、肥満・糖尿病が下がるどころか増えたのはどうしてでしょうか。

糖質の摂取比率が1971年で42.4%、2000年で49.0%と6.6%の増加となっています。糖質の摂取が6.6%増えただけで肥満率が倍増、糖尿病有病率が2.5倍増になったということです。糖質の過剰摂取こそが肥満を含め生活習慣病の真犯人であり、脂質は関係なかったことがわかります。脂質はホルモンや細胞膜の原料となる大切な栄養素です。どうやら、いたずらに脂質を避けることは無駄のようですね。

糖尿病でお悩みの方、ご相談をお待ちしています。

コンニャクは血液浄化のアルカリ食品

コンニャクは一年や二年では育ちません。三年間、風雪にもまれながら大地にしっかりと根を張って育ってきた芋の粉から作ります。ただの低カロリーの美容食ではありません。コンニャクはカルシウムを含んだアルカリ食品です。コンニャクの含水炭素はマンナンといって不消化ですが、この不消化分が腸の雑菌を中和し、有効菌を養って毒素を流してくれます。また、コンニャクには特殊酵素があります。この特殊酵素の働きで腸の掃除をし、また腸で脂肪の吸収を調節する作用がありますので、栄養のとり過ぎの現代人に大いに役立つ食品です。

日本人は古くからコンニャクに親しんできました。昔は灰を水に浸してとったうわ水を使って固めましたが、これは栄養学的に最良の方法です。このようなコンニャクを食べている所では、お年寄りでも、段々畑を上り下りして働き、足腰が達者でした。カロリーを減らし、脂肪のとり過ぎを防ぎ、カルシウムを補い、血液浄化をしてくれるのですから、自然の恵みは有り難いものです。「コンニャクは腸の砂おろしだから食べなきゃいけないよ」と昔は言われたものでした。

また、手当法でもコンニャクは、細胞を活発にし、毒素を引き出す働きをしてくれます。肝臓は解毒をし、体に入れては困るものを処理する大切な臓器です。肝臓が弱ると毒素や老廃物も溜り、疲れやすくなります。腎臓は血の浄化をしてくれますが、腎臓が弱ると血は汚れ、酸素不足となります。ですから、弱ったときには第一に肝臓と腎臓を、ゆでコンニャクをタオルで包み、20分から30分位温めます。そして冷たいタオルで拭いて休むと疲れがとれます。

健康情報

食養生「梅」  2016.1

梅がきれいな花を咲かせていますが、その実は万病に効く自然からの贈り物です。日本人の生活と梅とは、切っても切れない縁があります。クエン酸、リンゴ酸を含み、酸味が強い梅は、元々は中国から伝わったものですが、梅干しは日本独自の特産物です。未熟な青梅には有毒な青酸が含まれているので、生梅を食べると下痢したりするので加工するとこの青酸が中和されて毒作用がなくなり、逆に薬効を強めます。梅の殺菌、整腸作用が素晴らしいことはいうまでもありません。

伝染病や食あたりのときに、梅干しを食べ続けると効果抜群で、旅先で飲み水にあたりやすい人も、梅干しを食べておけば難を逃れます。よくお弁当にも入れますが、これもバイ菌の発生を止め、疲労をとるので大変いいことです。また、夏などのバイ菌予防や伝染病の予防にもなり、朝梅干しを食べておくと一日の整腸作用を助けます。整腸効果が大きいと、腸内に溜まった老廃物を減らし、異常発酵をして毒素を出すのを防ぐので、全身の機能を丈夫にすることになります。

また、胃酸の分泌を正常にするので、胃酸過多症や、また逆の低酸症のどちらにも大きな効果があります。便秘と下痢が交互にくる人は低酸症が多く、胃ガンなども統計では低酸症の人に多いのです。こんな方は特に毎日、梅干しを食べるように心掛けるといいと思います。梅にはガンを予防し、または治すビタミンB17が多く含まれています。これは特に、梅の核に多いので、梅干しの種も捨てないで、中の核を食べるといいです。この梅の種の核をよく「天神様」と呼びますが、正にご利益あらたかな天神様です。ガンばかりでなく、毒素や公害物質も排出してくれますので、抗公害食品といえます。

ゼオライトとPH(ペーハー)

さいたま市 オットー・ワールブルク博士

がんやその他の病気を予防するのに、重要なカギが体内のpH(ペーハー)バランスです。普通、体は弱アルカリ性に保とうとがんばっています。このバランスを保とうとすることを「ホメオスタシス」(恒常性)といいます。これが生き残るための環境に一番適しているからです。通常、健康な細胞は人体の各種の緩衝系の作用で、血液のpHが7.35~7.45という、ややアルカリ性(弱アルカリ)の状態に保たれています。しかし、バランスが崩れてくると大切なカルシウムを骨から取り出し、骨を弱くさせてまでpHバランスをとろうとします。当時はあまり脚光をあびませんでしたが、ドイツで1931年にノーベル賞を受賞したオットー・ワールブルク博士(写真)は80年以上も前に、がんが増殖に必要なエネルギーを生産する環境はpHが酸性に傾いている状態であることを突き止めていました。

がん細胞は酸素を好まず、ミトコンドリアの助けなしに「解糖系」というシステムで乳酸を発酵させてエネルギーを作るのですが、このシステムがもっとも効率的に動くのはpHが低い、酸性状態であるといわれています。残念なことに、現代社会では農薬、添加物、体によくない油がしみわたっている食べ物、公害、環境汚染、化学薬品、ストレスなど体内に酸性物質を作り出す格好の状況下に置かれています。

体の理想である弱アルカリ性の環境からかけ離れた酸性過多の環境では、免疫力の低下、消化不良、筋肉低下、循環器系の欠陥など、多岐に渡って問題を引き起こします。こんな時、ゼオライトは血液中のpHバランスを整える作用があるので活躍が期待できます。また、ゼオライトは組織的なバクテリアが引き起こす化膿も緩和します。これらのバクテリアやがんなどの異常細胞は酸性の環境を好むことがわかっています。ゼオライトによって体内pH環境を整えることができるので、自然と治癒力も増し、体に負担をかけなくてすみます。

免疫恒常性

免疫システムにも恒常性があり、病原体から体を守るための免疫活発系と、過剰な免疫亢進を防ぐ免疫抑制系とがあり一定のバランスをとって機能しています。これを免疫恒常性といいます。体には外部からの病原体から自己を守る防御機構としての免疫機構を備えていますが、その免疫系は誤作動を起こすことがあり、自己と非自己とを完全に区別することができない時があります。

免疫機能が活発になりすぎた場合、過剰な炎症反応が生じます。その時、本来は病原体あるいは異物としてみなす必要のない物質のみでなく、有用な共生微生物・真菌までも勢い余って攻撃してしまいます。最悪の場合は生体自身が産生する物質や生体自身そのものを抗原とみなして攻撃してしまい、これらは結果としてアレルギー性疾患や自己免疫疾患を発症してしまいます。一方、免疫が弱すぎれば、病原体に自身が侵されてしまうことになります。免疫恒常性はこの様なことがないようにある一定のレベルの免疫レベルを維持するものです。

色彩の身体への効用

人の自律神経には交感神経と副交感神経があり、前者は車のアクセルのようなもので、興奮したときや活動的な時に活発に働きます。一方、後者は車のブレーキに相当し、リラックスしたり、非活動的な時に働きます。たとえば、気分が沈滞して落ち込んでいるときには、交感神経が働くように環境を変える必要があります。色彩に関して言えば、波長の長い色、例えば赤系統の色彩は気分を高揚させ、活動的にしむけることができます。逆に、精神的に覚醒状態で、気分が落ち着かないというときには、副交感神経が働くように周囲の環境を変える必要があります。色彩に配慮するとすれば、青色のような波長の短い色は気分を落ち着かせ、リラックスさせることができます。それでは、リラックスしているような状態で、青色の光を照射したならば、どのようになるのでしょうか。

私達の体験によりますと、自分の外部に向いていた意識が方向を変え、内部に向いていき、潜在意識が活性化する状態になるようです。フィクションの世界でも、狼男が狼に変身したり、かぐや姫が月世界に帰るのが青い光の満月の晩であったということは、潜在意識の実現力と短波長が密接な関係にあると考えてよさそうです。また、落ち込んでうつ状態にある人は、例外がないと言ってよいくらい黒色か灰色に近い色の衣服を着ています。

良くならない間は、衣服のカラーを変えようとはしません。かつて、体調の悪い方が病気から脱出できると思った時に、「もっと明るい色の服を着てみたら」と言ったところ、次に来館したときに周囲をびっくりさせました。目のさめるような真赤なオーバーコートを着てきて、しかも、それが良くにあっていたのです。色彩の選択に関して「好み」と「身体への効用」を考慮しますと、生活に「より豊かさやうるおい」をもたらすようです。

エッセイ

赤信号は原因ではない  2016.1

明けましておめでとうございます。2015年は心身の健康に関する情報に、驚くべき多くの新しい知見が公表されました。この傾向は今年も続きそうです。体の一部に痛みが生じると、通常はその部位を施術することになります。しかし、数日経っても一向に改善しない場合があります。これは、痛んでいた所は単なる結果であって、本当の警告すべき原因が別の所にあるということを示しています。

抽象的な表現では理解しにくいと思いますので、多くの症例から得られたN式総合整体療法の考え方の一部をご紹介いたします。腰痛の場合、腰を施術しても痛みがとれるどころか逆に痛みが増す場合さえあります。実は、腰は、身体のどこか重要な部分の危険性を叫んでいるのであって、本当の原因は、たいてい腹部の内臓、下肢、肩などにある場合が多いのです。また、肩こりの主原因は、内臓の他に眼や手指の使い過ぎにある場合が多く、それは、各種機器のオペレーター、TVゲームに夢中の子供、編み物に熱中している主婦、たくさんの文章を執筆する人など例を挙げたら枚挙にいとまがありません。

すなわち、原因はその部位に現れないで、他の部位に「痛み」や「症状」として、赤信号を灯す傾向があります。難病も同様に複数の身体の赤信号と思われます。難病は全身の非常事態を表現しているだけであって、難病が悪いのではなくて、難病を生じさせたものが、複数原因としてあるはずです。それにもかかわらず、赤信号に放射線を浴びせ、化学療法や手術で対処することが行われています。身体の叫びである赤信号が無視されれば、いずれ生命の交通事故は生じるでしょう。私達は、赤信号を青信号にする努力をしています。今年もよろしくお願いします。

かごめかごめ

さいたま市 かごめかごめ

柳田国男の「民俗学辞典」によれば、童歌の「かごめかごめ」は中心の子に神を降ろして、その託宣を聞く神の口寄せの方式であったと記載されています。これを気の面から解釈してみましょう。「かごめ」は屈め(かがめ)であるという意見と六芒星の「篭目紋」のことであるという意見があります。「かご」は肉体そのものと思われます。「とり」は宗教的には神、心理学的には潜在能力に相当するのでしょう。「夜明けの晩」は、未明であり、最も変性意識状態になりやすい時間であると言われています。「つる」は天から降り注ぐ気、「かめ」は地からわき出る気、「すべる」(統べる)は統合・合体することです。以上をまとめてみますと、潜在能力が活性化する変性意識状態に入りやすい未明に、天の気と地の気と周囲の子供達の人の気が、中心の子に集中合体する(天人地の統合)結果、この子は完全に集合的無意識領域下にあり、時間、空間を超越した情報をキャッチするものと思われます。

これと類似の行が古神道、ヨガ、気功などでも行われていることを考えると、日本民族はもともと感性豊かになることを日常的に行っていたということが理解できます。さて、以上の情況を脳科学的に分析してみましょう。電離層のプラズマ振動は8Hzで地球に向かって降り注いでいると言われ、地球のマグマの振動も8Hzで地上に発信しています。一方、人の意識が低下してくると、脳波でいう8Hzのスローα波が優勢になり、脳幹の活動が活発になるようです。まさに脳幹が開いて、天と地の振動と共鳴して、宇宙空間に存在する情報を脳が的確にとらえている情況と判断したらどうでしょうか。